『相続税における名義保険の取扱い』
Aさん
相続税の税務調査では、名義預金だけではなく「名義保険」も問題になると聞きました。「名義保険」とはどの様な保険のことをいうのでしょうか?
たかこサン
「名義保険」とは、「契約者名義」と「保険料負担者」が異なる保険契約のことをいいます。例えば、子や孫名義の生命保険の保険料を親や祖父母が支払っているという場合です。相続税では、「名義保険」は、実質誰が保険料を負担しているかで税金の取り扱いが決定されますので注意が必要です。
Aさん
契約者名義は私ですが、実際には父が保険料を支払っている終身保険があります。
被保険者は私で、私が死亡したときに生命保険金が支払われる予定です。どの様な点に注意が必要でしょうか?
たかこサン
その保険の場合、お父様が亡くなったとしても保険金が支払われるわけではないので、お父様のご相続の際には関係ないと思うかもしれません。しかし、相続税の計算上は実際にはお父様が保険料を負担していたことに着目し、この保険はお父様の財産であると考えて、お父様のご相続開始時点の「解約返戻金相当額」を相続税の課税財産に含める必要があります。
Aさん
父の相続財産に含める必要があるのですね。生命保険は非課税となる金額(500万円×法定相続人数)があると聞きましたが、非課税の適用はできるのでしょうか?
たかこサン
お父様の死亡により支払われる死亡保険金ではないため、非課税の適用はありません。
最近の税務調査では、この「名義保険」の計上漏れの指摘も非常に多くなっています。税務署側も、過去の預金の動きの調査の中で判明した保険料支払いの実態から「名義保険」と判断したり、2018年から契約者変更した場合にも保険会社から税務署へ支払調書の提出が義務化されたりするなど、保険関係の課税強化がますます厳しくなっている印象です。
現在契約されている又は今後契約予定の生命保険の税金に関する取扱いについては、相続や保険に強い専門家にご相談されることをお勧め致します。