たかこサンの相続コラム『コロナ禍における相続税の税務調査』
Aさん
コロナ禍でも相続税の税務調査は行われているのでしょうか?自宅に訪問するのもなかなか難しいですよね?
たかこサン
確かに直近で国税庁より公表されている令和2事務年度(令和2年7月~令和3年6月)のデータでは、新型コロナウィルス感染症の影響により、実地調査件数は前事務年度の10,635件から5,106件(前事務年度比48.0%)と大幅に減少しています。
Aさん
コロナの影響が長引くのはもちろんよくないですが、相続税の税務調査が心配という人にとっては、その点少し安心ということでしょうか?
たかこサン
そう簡単に言い切れる話でもありません。前述のデータによれば、令和2事務年度においては大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先的に調査し、実地調査1件当たりの追徴税額は943万円(対前事務年度比147.3%)となり、過去10年間で最高となりました。
また、実地調査件数は減っていますが、いわゆる簡易な接触(文章、電話による連絡又は来署依頼による面接により申告漏れ・計算誤り等を是正する)による調査手法は、前事務年度の8,632件から13,634件(前事務年度比157.9%)と、こちらは大幅に増加しています。
つまり最近の税務調査においては闇雲に実地調査を増やすのではなく、効果的・効率的に課税できるよう努めているといえます。更に、無申告の事案に関しては、他の納税者との公平感を著しく損なうものであることから、積極的に資料・情報の収集を行い、課税を強化している点も近年の特徴です。
Aさん
税務署も時代に応じた調査方法を実践しているということなのですね。
たかこサン
相続税の税務調査の対象になるかどうかは、相続財産の金額はもちろん相続税の申告書の内容自体がとても大事になってきます。税理士といってもそれぞれ得意分野がありますので、税調査対策という意味でも相続税申告はできる限り相続専門の税理士に依頼された方がよいと思います。