財産漏れがあり、専業主婦である配偶者の預金8,000万円を相続財産に含めて申告を行った事例
被相続人:相談者の夫
相続人:妻(相談者)、長男、長女
相続財産:不動産 約2,000万円
預貯金 約2,000万円
相談内容
ご相談者様のご主人がお亡くなりになり、相続手続全般のご相談に来られました。
ご主人が遺された財産をお伺いしたところ相続税の申告は必要なさそうでしたが、税務調査で財産漏れを指摘されやすいポイントについてご説明させて頂いたところ、相談者である奥様の預金が8000万円ほどあるというお話になりました。
弊社が代行した手続き・解決内容
①奥様の財産形成についての確認
奥様名義の預金8000万円がどのように形成されたのかお聞きしたところ、次のような内容でした。
・ご結婚後は専業主婦
・ご実家からの相続があった
・ご主人からの生前贈与があった
・ご主人の給与の大半を、生活費として奥様の口座で管理していた
奥様固有の財産については奥様の財産として取り扱われますが、ご主人の財産から形成されている部分については相続財産として含める必要があることをご説明し、その金額を算出しました。
②相続税申告
財産形成について確認した結果、ご主人の相続税申告が必要となったため、相続税申告手続きをサポートさせていただきました。
結果
奥様名義の預金も相続財産に含まれるということで最初はご不安な様子でしたが、財産形成についてしっかりヒアリングを行ったうえでお手続きを進めたことで、後から指摘されるリスクを減らすことができたと非常に安心していただけました。
相続財産について
プラスの財産
・不動産(土地・建物)・・・宅地・居宅・農地・店舗・貸地など
・不動産上の権利・・・借地権・地上権・定期借地権など
・金融資産・・・現金・預貯金・有価証券・小切手・株式・国債・社債・債権・貸付金・売掛金・手形債権など
・動産・・・車・家財・骨董品・宝石・貴金属など
・その他・・・株式・ゴルフ会員権・著作権・特許権
マイナスの財産
・借金・・・借入金・買掛金・手形債務・振出小切手など
・公租公課・・・未払の所得税・住民税・固定資産税
・保証債務・・・実際に債務を有していなくても、債務保証したことにより将来発生しうる保証金
・その他・・・未払費用・未払利息・未払の医療費・預かり敷金など
遺産に該当しないもの
・財産分与請求権
・生活保護受給権
・身元保証債務
・扶養請求権
・受取人指定のある生命保険金
・墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など祭祀に関するもの
などがあります。
遺産の評価をどうするか?
民法上の相続財産を引き継ぐ手続きでは、評価方法は具体的に定められておらず、一般的には、時価で換算することになります。
ただ、相続財産の評価では、評価方法により相続税の評価額が変わってきたり、民法と税法上では、相続財産の範囲とその評価方法の取り扱いが異なります。
その為、相続財産評価には専門的な判断が必要となります。