『相続登記が義務化されました』
Aさん
相続登記が義務化されたと聞きました。10年以上前に父が亡くなりましたが、自宅の名義が父のままです。どういった対応が必要でしょうか?
たかこサン
不動産については、法務局において名義人などの権利関係が登録(登記)されています。名義人が亡くなった場合には、相続人に名義変更することになります。この名義変更を「相続登記」といいます。
これまで、相続登記は任意とされていて、相続登記をしない場合の罰則や期限はありませんでした。
しかし、法律の改正により、令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続により不動産を取得した人は所有権取得を知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならないことになりました。この申請を怠ると罰則があり、10万円以下の過料が科せられる場合があります。
Aさん
父が亡くなってからすでに3年が過ぎていますが、大丈夫でしょうか?
たかこサン
相続登記義務化は過去の相続も対象となります。過去の相続の場合の期限は、改正法の施行日(令和6年4月1日)または不動産の取得を知った日のうち、いずれか遅い日から3年が期限とされています。過去の相続のほとんどのケースについては、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。
Aさん
実は、相続人同士で誰が自宅を相続するかでもめていて遺産分割協議ができていません。令和9年3月31日までに相続登記を申請することは難しいかもしれません。
たかこサン
相続登記は、相続人同士で話し合いがまとまらない、相続人に行方不明者がいる、相続人が非常に多く複雑といった理由で時間がかかる場合があります。そのような場合に、罰則が適用されるのを防ぐために、「相続人申告登記」という制度が創設されました。
「相続人申告登記」は、相続人が複数いても特定の相続人が単独で申請することができます。また、「相続人申告登記」をすることで、相続登記の義務を履行したものとみなされるので、罰則を回避することができます。
一方、相続登記の代わりにはならないため、遺産分割が成立した場合は、その成立日から3年以内に改めて相続登記が必要となります。また、正式な名義変更ではないため、「相続人申告登記」だけでは不動産の売却などの処分はできませんので、注意が必要です。
Aさん
それでは、罰則がかからないようにするために、まずは、「相続人申告登記」をしておき、相続人同士で話し合いがまとまりましたら、正式に相続登記をしたいと思います。
たかこサン
そうですね。現在相続登記を放置されている方は、放置期間が長ければ長いほど手続きが複雑で難しくなっていることが予想されます。先ずは不動産登記手続きの専門家である司法書士にご相談されることをお勧めします。