『未成年者がいる場合の遺産分割協議の方法』
Aさん
夫が亡くなりました。相続人は私と未成年の子どもになるのですが、遺産分割協議はどのように行うのでしょうか?
たかこサン
相続人の中に未成年のお子様がいる場合、未成年者は遺産分割協議に参加することができません。法定代理人である親権者(父母等)が未成年者に代わって遺産分割協議に参加することになります。
Aさん
私は、相続人としての立場と、子供の親権者としての立場の両方で遺産分割協議に参加するということでしょうか?
たかこサン
はい、両方の立場で遺産分割協議に参加することになるので、利益相反の問題があります。利益相反とは、Aさん自身にとって有利になる内容にすると、お子さんにとって不利な内容になる、といった状況を指します。
Aさん自身の利益と子どもの利益を同時に守ることは難しいため、このような場合は、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらい、その特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。
(特別代理人の選任方法)
特別代理人の選任をしてもらう際は、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
(特別代理人の候補者)
特別代理人の選任申立を行う際には、候補者を立てることができます。候補者は、親族(祖父母や叔父叔母など)から選ばれることが多いです。
(特別代理人が選任に要する期間)
一般的には、裁判所への申立準備から特別代理人の選任までに3~4か月程度かかります。そのため、相続放棄や相続税申告など、期限のある手続きを行う際は注意が必要です。
(遺産分割協議書の内容)
特別代理人を選任する場合、遺産分割協議書案を提出する必要があります。基本的には未成年者の利益が害されないように、法定相続分に従った内容としますが、事情によっては親が全相続財産を取得するといった内容にすることもできます。たとえば相続財産が自宅不動産のみで、配偶者と子どもが分割すると自宅不動産を自由に活用できなくなり不都合が生じる場合などです。
未成年者がいる場合の遺産分割協議は手続きが複雑になるため、詳しくは専門家に相談されることをお勧めします。