任意後見制度
Cさん:「今は元気な私ですが、この先もし認知症になったりしたら自分の財産をしっかり管理できるか心配です。」
たかこサン:「老後のことは心配になりますよね。それでは【任意後見制度】をご紹介しましょう。この制度は、本人に契約締結や財産管理に必要な判断能力があるうちに、信頼できる人と契約を結び、将来認知症などで判断能力が衰えた際の法律行為などを事前に任せておく、というものです。」
Cさん:「認知症になった後のことを、あらかじめ誰かに頼んでおくということですか?」
たかこサン:「そういうことですね。自分が元気なうちに、将来の事務を任せたい人と、公証人役場で公正証書による任意後見契約を結んでおきます。そして自分で「認知症かなぁ」と思った時に、自ら家庭裁判所に申立てをして、契約にしたがって任意後見人に就任してもらう仕組みです。申立ては、本人の同意があれば、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者からもできますし、万が一申立て前に重度の認知症になってしまった場合は、本人の同意なしでもできます。
就任した任意後見人は、裁判所が選任する任意後見監督人の監督のもと、契約で委任された法律行為を代理していくことになります。
財産の管理をはじめ、病院等への入院や有料老人ホームへの入所の契約など、委任する法律行為は幅広く選択できるので、専門家に相談しながら、自分の状況にあった契約内容を検討するのが良いでしょう。」
任意後見制度とは、本人が判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときの後見事務の内容と後見する「任意後見人」を公正証書で決めておく制度です。
なお、任意後見制度での家庭裁判所の関与は、本人があらかじめ選任しておいた任意後見人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります。
この際、任意後見監督人は本人が選んだ任意後見人がきちんと仕事をしているか確認します。
なお、任意後見契約においては任意後見人を誰にするか、どこまでの後見事務を委任するかは話し合いで自由に決めることができます。
上記の内容を公証人役場で公正証書を作成する必要があります。
任意後見のメリット
○現在、本人に判断能力の低下がなくても利用することができること
○自分の信頼できる人に後見人を依頼することができること
○どこまでを後見人に依頼するかを柔軟に決めることができること
○契約内容が登記されるため、任意後見人の地位が公的に証明されること
○家庭裁判所で任意後見監督人が選出されるので、任意後見人の仕事を確認できること
などがあります。
任意後見のデメリット
×死後の事務処理を委任することが出来ない ⇒ 後述の財産管理委任契約、死後事務委任契約でカバーすることは可能。
×法定後見制度のような取消権や同意権がない
×迅速性に欠ける ⇒ 後述の財産管理委任契約でカバーできます。
×本人の判断能力の低下前に契約は出来るが、判断能力が低下して効力が生じるまで、実際に管理に着手出来ない ⇒ 後述の財産管理委任契約でカバーできます。
×後見人の報酬に加え、後見監督人の報酬も必要となる
良い点悪い点をしっかりとおさえて、任意後見をするかしないかの判断をすることをお勧めします。
- 保安林
- 不動産の相続登記
- 相続登記の必要書類
- 未成年者がいる場合の遺産分割協議
- 贈与が成立するためには
- 遺産分割のやり直し
- 遺言を遺したほうがよい方
- 遺言書の種類と作り方
- 遺言書の検認
- 相続放棄について 単純承認と3ヶ月を超える場合
- 贈与の証拠を確実にする方法
- 「遺言書」って作ったほうがいいの?
- 「負担付贈与」にはご注意を!!
- 相続人に養子がいる場合の相続税の非課税額は?
- 結婚して20年以上になるご夫婦間のご自宅の贈与について
- 相続時精算課税贈与とは?
- 住宅を取得するための資金を贈与した場合の特例
- 相続人が1人もいない場合の遺産整理手続き
- 自筆証書遺言がみつかったら
- 親名義の不動産に子がリフォームした場合
- 遺留分とは?
- 住宅取得資金を贈与した場合の特例
- 贈与税の申告について
- 遺産分割の具体的な方法
- 孫への教育資金贈与
- 相続税の税法改正について
- 遺言を遺したほうがいい方
- 遺言書の種類や作り方について
- 遺言書はいつ作成するべきものでしょうか?
- 遺産分割協議がまとまらない場合
- 相続の手続をせずに放っておくと・・・。
- 相続人が外国で生活している場合
- 任意後見制度
- 相続放棄と遺産の処分について
- 相続財産の調査方法について
- 遺言書の内容は絶対か?
- 生前贈与の検討
- 相続税の納税資金の確保
- 遺言書による信託
- 生前贈与と名義預金
- エンディングノートのすすめ
- 後見制度支援信託
- 養子縁組
- 孫の養子縁組
- 相続人が不明のときは?
- 旧民法時代の相続
- 相続税申告期限内に遺産分割協議がまとまらないときは
- 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 相続放棄と生命保険金
- 負担付遺贈とは?
- 祖父名義の土地を孫が相続できるか
- 相続税の課税における生前贈与加算
- 所得税の準確定申告
- 遺言による寄付
- 遺産分割協議で気を付けること
- 不動産の共有状態の解消
- 3ヶ月経過後の相続放棄
- 過去に贈与した財産も遺産分けの対象となる?
- 農地の遺贈と農地法の許可
- 相続と空き家問題