「負担付贈与」にはご注意を!!
今回は負担付贈与の注意点などを、実際のお客様のご相談内容を基にお伝えさせて頂きます。
Cさん:「自宅を息子に贈与し、その自宅の住宅ローンも息子に引き継ぐことを考えています。」
たかこサン:「借金付きで贈与することを「負担付贈与」といいます。」
Cさん:「負担付贈与の場合も贈与税がかかるのですか?」
たかこサン:「負担付贈与の場合も贈与税がかかる場合がありますよ。贈与税はもらった人がどれくらい得をしたのかという計算をすることになるので、もらった財産の価額からその負担する借金の額を控除した金額に対して贈与税がかかります。例えば、自宅の評価額が2,000万円、借金の金額が1,000万円の場合は、もらった人は1,000万円の得をしたことになりますので、この1,000万円に対し贈与税がかかります。」
Cさん:「贈与税以外で気を付けることはありますか?」
たかこサン:「負担付贈与をした人(あげた人)にも譲渡所得税という税金がかかる場合があります。あげた人はその財産を引き継いでもらった借入金の金額で売却したという風に考えて、借入金の額よりその財産の取得価額の方が低い場合には譲渡所得税がかかることになります。例えば、引き継いでもらう借入金の額が2,000万円、不動産の購入した時の購入代金(取得価額)が1,500万円の場合は、1,500万円で買ったものを2,000万円で売却したと考えるため、売却益500万円に対し譲渡所得税がかかることになります。
負担付贈与とは
負担付贈与とは、簡単に言うと、借金して財産を得た人が、その借金と財産の両方を贈与することです。
住宅ローンを組んでアパートや自宅を建築、あるいは購入しマイナスの財産である借金(ローン)とプラスの財産であるアパートの両方を贈与するケースなどがこれにあたります。
このように、土地や家を贈与する代わりに住宅ローンを払う契約をする、といった使われ方が一般的です。
負担付贈与のメリット
口頭でで契約が成立する
負担付贈与と普通の贈与のどちらも、一般的に契約は口頭のみで成立します。
普通の贈与契約なら、贈与者が特定の財産を与え、受贈者がそれを受け取ることをお互いが合意した時点で契約が成立します。
負担付贈与の場合は、特定の財産を与えることと、その見返りに特定の財産を負担することの2点をお互いが合意する必要があります。
契約書作成の義務はないですが、負担付贈与の場合は見返りの債務の履行が残ることが一般的なため、契約書を作成しておく方が良いでしょう。
一定の場合に契約を解除することができる
口頭のみの贈与契約は、まだ履行されていない部分に限り撤回することができます。
普通の贈与も負担付贈与もこの点は同じです。
負担付贈与では、受贈者が債務を履行するまでは贈与者が契約を解除することができます。
特定の財産を渡したのに、見返りの債務を受贈者が履行しない場合は、贈与者はこの契約を解除して財産を取り戻すことが可能です。
負担付贈与のデメリット
贈与物に欠陥があった場合、贈与者が責任を負うことがある
普通の贈与契約の場合は売買契約の場合と異なり、渡した物に欠陥があっても原則として渡した側は責任を負いません。
しかし、物に欠陥があることを知っていたうえで、あえてその旨を受贈者に伝えなかった場合は、その欠陥によって受贈者に生じた損害を賠償する責任を負います。
ただし、欠陥がない場合は受贈者が得られたであろう利益まで賠償する責任はありません。
負担付贈与の場合は、贈与者が負う賠償責任の範囲が負担の限度のみに制限されます。
例えば、評価額3,000万円の家を贈与する代わりに残り800万円の住宅ローンを支払ってもらう契約の場合は、贈与者の賠償義務は最大800万円までに限定されます。
贈与税が発生する
普通の贈与でも負担付贈与でも、一定の場合に贈与税がかかります。
贈与税の計算方法は普通の贈与の場合と負担付贈与の場合で異なり、負担付贈与の方が税額が高くなります。
一般的な贈与税の計算方法は以下になります。
<贈与税の計算方法>
(贈与された財産の価額-基礎控除)×贈与税率-控除額=贈与税額
基礎控除額は、一律110万円です。
贈与税率と控除額は、贈与された財産の価額に応じて定められています。
負担付贈与にかかる贈与税を計算する場合は、
受贈者が負担する債務の額を贈与された財産の価額から差し引いて計算します。
<例>
親から、評価額3,000万円の家を贈与され、その代わりに住宅ローンののころ800万円を支払う債務を負担した場合の贈与税額は以下になります。
(3,000万円-800万円ー110万円)×45%-265万円=675,5万円
不動産を贈与する場合には評価額に注意
贈与される財産が現金や預貯金のみの場合は、額面がそのまま評価額となりますが、
その他のものを贈与する場合は、その財産の金瀬的な評価額を求める必要があります。
また、不動産を贈与する場合は、ふつうの贈与と負担付贈与とでは評価額が異なるので注意が必要です。
普通の贈与の場合は、「相続税評価額」によって贈与税を計算しますが、負担付贈与の場合は時価によって贈与税を計算する必要があります。
相続税評価額は時価よりも低く、概ね時価の8割程度の金額になります。
そのため、負担付贈与の場合、普通の贈与よりも評価額が高いため、贈与税額が高くなってしまいます。
相続時精算課税制度によって節税も可能
普通の贈与も負担付贈与も、節税するために相続時精算課税制度を利用することができます。
相続時精算課税制度とは、贈与された財産の価額が2,500万円までであれば贈与税を支払わず、その分を将来相続が発生したときに相続税として精算することができる制度です。
相続税は基礎控除額が3,600万円なので、贈与された財産とその他の遺産の総額が3,600万円以内であれば、贈与税も相続税も支払わずに贈与を受けることが可能です。
所得税や住民税がかかることもある
負担付贈与の場合は、譲渡所得税や住民税が贈与者にかかるケースがあります。
例えば、父が息子に2,000万円の家を贈与し、その代わりに住宅ローンの2,500万円を支払ってもらう負担付贈与をしたとします。
このケースの場合、父は差し引き500万円の利益を受けたことになります。
この利益は譲渡所得になるので、所得税が課せられます。
更に、所得が生じると住民税も課せられることになります。
負担付贈与は、上記で述べた様に贈与税や譲渡所得税など思わぬ税金が発生することがありますので、必ず専門家に相談して下さいね!
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