『“みなし贈与”に要注意!』
Aさん
親の介護が必要になったので、親の家に同居することになりました。
リフォームも必要になるので、私が住宅ローンを組んでリフォームしようと思います。
このとき、何か税金面で気を付けることはあるでしょうか?
たかこサン
「みなし贈与」に注意しなければなりません。
贈与を受けた場合には、「贈与税」の対象となります。
この「贈与税」ですが、贈与を受けたつもりがないのにかかる場合があります。
一見すると、贈与には見えない行為を、税法上、贈与とみなして、贈与税を課税するという制度があり、「みなし贈与」といいます。
まさしく、親と同居するために、親名義の建物に子が住宅ローンを組んでリフォームする場合が「みなし贈与」に該当し、贈与税の対象となります。
これは、親名義の建物をリフォームしたことで、親名義の建物の価値が上がったと考えます。子が住宅ローンを組んで資金負担をしているにもかかわらず、その恩典(建物の価値が上がること)は親が受けたということで、子から親へリフォーム代金相当額の贈与があったものとみなされ、贈与税が課税されることになるのです。
リフォーム代金相当額の名義を子名義に変更するなどして、多額の贈与税が課税されることを防ぐ必要があります。
Aさん
それは聞いておいてよかったです。
他にも、「みなし贈与」に該当するようなケースがあれば教えて下さい。
たかこサン
「みなし贈与」には代表的なものがいくつかありますので、2つご紹介します。
① 保険契約で保険料負担者以外が受取人となっている場合
例えば、「保険料負担者:父 被保険者:父 受取人:父」の満期保険金であれば、満期時に満期保険金を父が受け取ることになり、所得税が課税されます。
注意しなければならないのは、保険料負担者と受取人が異なる場合で、例えば、「保険料負担者:父 被保険者:父 受取人:長男」のようなときです。この場合、満期時の満期保険金は長男が受け取ることになりますが、そのときに、父から長男への満期保険金の贈与があったものとみなされて、贈与税が課税されます。
② 財産を安く譲り受けた場合
親族から、時価5000万円の不動産を1000万円で譲り受けたとします。
この場合、譲り受けた側から見ると、時価と売買代金の差額である4000万円について得をすることになり、この金額が「みなし贈与」となります。
売買という形であっても、低額な売買代金の場合には贈与税の課税対象となってしまいます。
このように、一見贈与には見えない行為でも贈与税の課税対象となることがありますので、このようなケースに該当する場合は、専門家に相談されることをお勧めします。