【税理士が解説】相続した不動産の売却にかかる税金について
目次
相続した不動産を売却する際、どのような税金がかかるのか、どのような注意点があるのかを知っていなければ、余計な税金を支払うことになりかねません。
そこで本記事では、相続した不動産の売却にかかる税金について詳しく解説します。
不動産を相続した後に売却する税制上のメリット
相続した不動産を売却することには、いくつかの税制上のメリットがあります。
具体的には、以下3つのメリットを活用することで、税負担を軽減させられます。
1. 特別控除の適用
相続した不動産を売却する際、一定の条件を満たすことで特別控除が適用されます。
この控除を利用することで、譲渡所得税の負担を軽減することが可能です。
たとえば、「相続した空き家を譲渡した場合の3000万円特別控除」などがあります。
2. 相続税の取得費加算
相続した不動産を売却する際には、相続税の一部を取得費に加算させられます。
これにより、譲渡所得を減少させ、結果的に譲渡所得税の軽減につながります。
この特例は、相続税の申告期限から3年以内に売却した場合に適用されます。
3. 長期譲渡所得の軽減税率
相続した不動産(マイホーム)を売却する場合、所有期間が10年以上であれば、長期譲渡所得として軽減税率が適用されます。税率が低く抑えられるため、税負担が軽減されます。
相続した不動産を売却したときにかかる税金
相続した不動産を売却する際には、いくつかの税金が発生します。
以下にそれぞれの税金について解説します。
相続税
相続税は、不動産を相続した際にかかる税金です。
不動産の評価額に基づいて計算され、相続税の申告・納付が必要です。
具体的な税率は以下の速算表をご参考ください。
(引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
登録免許税
登録免許税は、不動産の名義変更を行う際に発生する税金です。
相続登記を行う際には、不動産の価額に対して1,000分の4の税率がかかります。
印紙税
印紙税は、不動産売買契約書に貼付する収入印紙代として発生する税金です。
契約書の金額に応じて、印紙税の額が決まります。
具体的な税率は以下のとおりです。
(引用:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm)
譲渡所得税
土地や建物を売却した際に発生する譲渡所得税は、所有期間で異なる税率が適用されます。
所有期間が売却年の1月1日現在で5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、低い税率が適用されます。一方、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、高い税率が適用されます。
(引用:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)
復興特別所得税
復興特別所得税は、譲渡所得税に対して追加で課される税金です。
復興支援のために設けられた税金で、譲渡所得税額の2.1%が加算されます。
相続した不動産を売却したときに利用できる特別控除
相続した不動産を売却する際には、一定の条件を満たすことで特別控除が適用されます。
たとえば、前述した税制上のメリットである、特定の居住用財産を売却した場合、最大3,000万円の特別控除が適用されるという優遇です。
この控除を利用することで、譲渡所得税の負担を大幅に軽減することが可能です。
特例の適用要件
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①相続または遺贈による取得
売却者が相続または遺贈で被相続人居住用家屋とその敷地を取得したこと。
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②売却条件
以下のいずれかに該当する売却を行うこと。
A:相続または遺贈で取得した被相続人居住用家屋またはその敷地を売ること。
・相続から売却まで事業、貸付、居住に使われていない。
・売却時に耐震基準を満たす。
B:相続または遺贈で取得した家屋を取り壊した後にその敷地を売ること。
・相続から取り壊しまで事業、貸付、居住に使われていない。
・相続から売却まで事業、貸付、居住に使われていない。
・取り壊しから売却まで敷地が使われていない。
C:相続または遺贈で取得した家屋またはその敷地を売ること(上記Aを除く)。
・相続から売却まで事業、貸付、居住に使われていない。
・売却から翌年2月15日までに耐震基準を満たすか、家屋を取り壊す。
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売却時期:相続開始から3年以内の年末までに売ること。
- 売却代金の条件
売却代金が1億円以下であること。
他の相続人や分割売却も含めた合計額で判断。
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その他
・他の特例を受けていないこと。
・同じ被相続人からの取得に対し、すでに特例を受けていないこと。
・親子や夫婦など特別な関係がないこと
これらの条件を満たす場合に限り、特例の適用を受けることができます。
相続した不動産が売却できなかった場合の注意点
相続した不動産が売却できなかった場合にも、いくつかの注意点があります。
まず、相続税の支払いが困難になる可能性があります。
また、不動産の維持費や固定資産税の負担も考慮する必要があります。
さらに、長期間売却できない場合には、資産価値の減少リスクもあります。
このような場合には、早めに専門家と相談し、適切な対策を講じることが重要です。
相続した不動産によくあるご相談
相続した不動産について、以下のようなご相談がよく寄せられます。
よくあるご相談と簡単な回答についてまとめてみました。
不動産の評価額についての疑問
Q.相続税を計算する際の不動産の評価額はどのように決まるのでしょうか?
A.相続税を計算する際の不動産の評価額は、主に「路線価方式」と「倍率方式」によって決まります。路線価方式では、路線価(道路に面した標準的な宅地の1㎡あたりの価格)に土地の面積と補正率を掛け合わせて計算します。一方、倍率方式では、固定資産税評価額にその地域ごとに定められた倍率を掛けて評価額を算出します。
相続人間でのトラブル回避方法
Q,複数の相続人がいる場合、不動産をどのように分割または売却して公平でしょうか?
A.遺産分割において不動産には以下の分割方法があります。
換価分割、現物分割、代償分割、不動産共有の4つです。いずれの分割方法が適切かについては個々の状況によって異なるため、専門家からアドバイスをもらうことを推奨します。
相続手続きの進め方の疑問
Q.相続登記や必要な書類の手配など、相続手続きをスムーズに進める方法はありますか?
A.相続手続きには期限が定められているものが多くあります。たとえば、相続税申告は自身に相続があったことを知った日から10ヶ月以内に行わねばなりません。
よって、スムーズに進めたいのであれば、相続手続きのスケジュールの確認が重要です。
もし、少しでも手続きに不安を感じるのであれば、まずは専門家に相談しましょう。
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相続した不動産の売却には、さまざまな税金や特別控除、メリットがあります。
これらを理解し、適切な手続きを踏むことで、税負担を軽減しつつ円滑に売却を進めることが可能です。
相続や不動産売却に関する疑問や悩みがある場合には、ぜひ専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
当事務所の税理士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
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